軽く拍手をして、心の底から亜萌ちゃんを祝福していると、彼女はリップをポーチにしまいながら言った。
「あんたは、どうなのよ」
「ど、どうって……?」
突然の質問に、心臓がドキリ、とする。
「もう、百合は相変わらずウソが下手なんだから。この間、素敵な王子様が欲しいとか言ってたじゃない」
ちょっとニヤケながら、亜萌ちゃんは喋る。
「そ、それは、読んでた小説の話っ……! 私は現実にカレシとかは必要ないよっ……!」
「そう言いつつ、実は興味があるんじゃないの~?」
「うっ、」
「ほら、反論できない。百合はこーんなに可愛いんだから、その気になれば男子なんてみんなイチコロだよ?」
ポンポンッと私の頭を叩く亜萌ちゃん。
「か、可愛くないよぉっ。それに、私、男子苦手でーー……、悪魔だし」
すると、亜萌ちゃんは、小さくハァとため息を吐いた。