心臓が早鐘を打つ。
これは神様がくれたチャンスだ。
物音で、私の隣のベットに真雪くんが寝たのを確信するとーー。
私はカーテンをそっと開けて、後ろ向きで寝ている真雪くんを指でつついた。
「まっ、真雪くん……、」
「うん? ……は? 百合……なのか?」
「そうだよ、私だよっ……。真雪くん、私のこと嫌いになったよね……、悪魔だからっ……。でもね、私、真雪くんのことーー」
「好きだ、百合」
私が言うよりも先に、真雪くんは抱き着いてきて、耳元で囁くように言った。
「でもっ、私は悪魔……っ」
「そんなの関係ない。百合が悪魔だろうと何だろうと、百合は百合だ」
ツン、と鼻の奥が痛む。
「百合ーー、好きだ、愛してる」
「わ、私も好き、大好き……っ」
私も、真雪くんの背中に手を回した。
しばらくお互いの気持ちを確かめあったあとーー、真雪くんが私が悪魔だと知った者はいないと説明してくれた。
私が学校を休んでいるのは、肺炎で入院したという理由で誤魔化していることも。