宙に浮き、目にも止まらぬ速さで、私はユキちゃんを捕まえる。



トラックは私の後ろを、スピードを出して通りすぎていった。



ユキちゃんは無傷で、私がホッとしたのも束の間。



「百合、その姿は……」



未だ宙に浮いている、私の姿を見て、固まる真雪くん。



キラワレタ。



この5文字が、私の脳裏に浮かぶ。



温かいものが頬を伝うと同時に、振り返ってーー。



「今まで、ありがとう……、真雪くん」



最後に精一杯の笑顔で、私はその場から、黒い羽で飛び去った。