裏庭でユキちゃんを見つけてから、私たちは帰り道を歩く。
私の手の中では、真っ白なユキちゃんが顔を上げて、不思議そうにこちらを見つめていた。
さらに、私の横には、真白くんーー、好きな人がいる。
雨は憂鬱だけど、この日は幸せでいっぱいだった。
けど、私は知らなかった。
これが、真雪くんと会うのが最後になるなんてーー。
「ん? ユキちゃんどうしたの?」
突然、抱いているユキちゃんがモゾモゾ動いて、濡れた鼻をひくつかせる。
「ーーあっ! ユキちゃんっ!!?」
ユキちゃんはするりと、私の手から離れて突然、車道に飛び出してしまう。
ちょうど、大型トラックが左に曲がってユキちゃんの目の前に迫って来る。
私の頭の中に色んな考えが浮かんだ。
このくらいの距離ならーー、私の黒い羽で届く。
けど、見られたらーー、真雪くんにどう説明していいか分からない。
「ーーっ!」
「百合、ダメだ! 危ない!!」
私は、地面を右足で大きく蹴りーー、制服を突き破って背中から出たのは、黒くて大きな羽。