亜萌ちゃんに対する恨みは一切ない、むしろ感謝している。
けど、今まで努力してこなかった自分への後悔と不安で、胸がいっぱいだった。
次の日の朝。
「うぅ~……、も、もういいんじゃないですかぁ……」
「まだダメ。あと1分」
誰もいない非常階段に続く廊下で、私と真雪くんは抱き合っていた。
人通りの少ない場所だけど、誰かが来る確率もある。
「よし、もういいぞ、百合」
真雪くんがするりと手を離し、私はその場にくたぁっと座りこんだ。
「うう~……」
私は、赤い顔で瞳に涙を滲ませながら、真雪くんに訴える。
「絶対に今、1分以上ハグしてたんじゃありませんかっ……!?」
「あ、バレてたか」
「ひ、酷いですよぉ、ぐすっ」
「何その顔、かわいい」
「えっ……?」
ぐいっと距離を縮められてーー、お互いの唇が触れ合いそうになった時。
「だだだ、ダメですっ……!」
私は慌てて、真雪くんの胸板をぐいっと押し、何とか制した。