おむすびを除菌で拭かせようとしたところから……

 いや、違うな。

 メニューを笹に吊るそうとしたとこからか。

 めぐるがそんなことを考えている間、田中は黙って灯りのついた屋形船を目で追っていた。

 ふいに口を開く。

「俺もお前のように、おおらかだとよかったんだろうが。

 ……いや、お前もスランプだということだから、繊細な部分も、きっとどこかにあるんだろうが」

 砂漠の果てまで探しに行ったらあるかな、くらいの感じで田中は言う。

「……細かいことが気になって、対局に集中できなくなっていったんだ」

 そんな告白を田中ははじめる。