「ロマンティックなクリスマスなんて過ごしてませんよっ。

 私が作ったケーキを二人で食べただけです。
 取り壊す前の長屋で、川に映る明かりを眺めながら」

「充分ロマンティックでは……?」
と健が言い、

「やだ、素敵っ。
 めぐるん様のクリスマスケーキを二人きりでっ」
と女子大生たちも盛り上がる。

「田中竜王、今年の王将戦はパティシエのコスプレなんてどうですか?」
とルカが言い、若林が、

「あ、そうだ。
 めぐるん先生がバレンタインチョコを作って、サプライズで、竜王にプロポーズするのはどうですか?」
と言い出す。

 いや、なぜ、私の方がプロポーズしてるんですか……。

 そして、今、ここで言ったら、なにもサプライズになってませんよ。