「いや、だからその……

 親しくなりすぎて。

 俺の中では――

 飛び越えていったんだ。

 桂馬みたいに」

「飛び越えてどこに行ってしまったんですか、私は……」

「…………どこにだろうな」

 田中さん、将棋指す手、美しかったな、とさっき思い出していたのだが。

 その手がそっと頬に触れてきた――。

 だが、田中は、すぐに、はっとしたように手を離す。

「そ、そういえば、なんで俺をパフェにしようと思ったんだ?」