「お疲れ様でした」
めぐるは控え室に戻ろうとする田中たちと廊下で出会った。
黒木田は、めぐるに、
「美味しかった。
今度、ぜひ、タイトル戦の対局で味わいたい」
と言って、熱く手を握って去っていった。
スタッフたちも去り、田中だけがそこに残った。
田中が少し困ったような顔をし、
「美味かった、暗黒で絶望のパフェ」
と言う。
いや、暗黒までは言ってない……と思いながらも、めぐるは、せっかく田中さんが褒めてくれてるんだから、と思って、つっこまなかった。
「よかったです。
お口にあって」
と言うと、田中は少し迷ったあとで、
「……なんでも美味いと言うつもりだった。
口にあわなくても」
と言い出す。
「駄目な判定者ですね」
とめぐるは笑う。