「さあ、黒木田名人、お口に合うかわかりませんがっ。
 お召し上がりくださいっ」
とめぐるは黒木田の方をさっと手で示した。

 黒木田は、うむ、という感じで頷き、シュークリームをフォークで食べようとして上手くいかず。

 お手拭きで手を拭くと、手でつかみ、口に入れた。

 衝撃を受けた顔をする。

「美味いっ。
 なんという、上品な甘さっ!」

 いや、お前、どこぞのグルメレポーターか。

 コンクールの審査員か、と思いながら、田中はめぐるの菓子を絶賛する黒木田を見ていた。