町中華探して一緒に迷っているときも。

 私の絶望のタヌキの目にゾッとしているときも。

 私の『にーろくふ』に惑わされているときも――。

「なにのろけてんのよ」
とルカに肘で腕をつつかれ、

「いや、のろけてるとかじゃないよ。
 ただ、田中さんが格好いいって言ってるだけじゃん」
と主張する。

 だが、ルカは、
「やめてよ、聞いてる方が恥ずかしいっ」
と騒いで、後ろを通った将棋連盟のおじさんに咳払いされていた。

 慌てて二人とも小声になる。