確かに美しいが。

 こんなときは、気分転換になるような華やかな物が食べたいんだがっ、と思いはしたが。

 いやいや。
 あいつとともに絶望を味わうのもまた一興。

 田中はこれを頼もうと心に決めた。

 次に、繊細な細い首をしたスワン型のシュークリームが現れた。

 ほお……とその美しさにみなが息を呑む。

 いや、これもめぐるではっ?

 いつか雄嵩のブログにも載っていた透明な飴細工の蝶がスワンにとまっている。

 誰でも喜びそうなスイーツだ。

 だが、俺はお前とともに、地の底まで堕ちようっ。

 一体、いつから俺の心にこんなにお前が入り込んでいたのか知らないが――。