ちょっと暑いな……。
冬のはじめとはいえ、特に日差しを遮るものもない野外ステージでの対局。
「どうせなら、人間将棋にすればよかったのにね」
とゲストとして登壇している久門がマイクを持たずに言う。
……そういえば、健のやつ、負けたんだったな。
なんだかんだで強いな、と田中は思った。
チャラチャラしてるように見えても、ちゃんと研究はかかさないし。
まあ、プロだしな。
そこで、軽快に司会の人が言う。
「さて、本日は、今、ここでお二人に勝負めしとスイーツを決めていただこうと思いますっ」
並んでパイプ椅子に座る黒木田がぼそりと言った。