いや、でも、この意外に(いさぎよ)いところは嫌いじゃないな、とめぐるは思う。

 なんだかんだ口ではいいながらも、腹の中では自分の弱さを認めているから、強いんだろうな――。

 健は逆にこれで、火がついたようで。

「やはり、現役の棋士は強い……。
 俺、絶対、将棋の世界に舞い戻ってやるっ」

「健さん、頑張ってください」
とうちわを振りながら、みんなが言うと、

「俺も竜王戦に出られるくらいになって、みんなと、めぐるんを争うよっ」
と宣言する。

「なんか私ではなく、『めぐるん』という賞品があるみたいですね……」

 作ろうかな、めぐるんとかいう幻のお菓子、とめぐるが言うと、みんな笑った。