「お前にはほんとうに助けられた。
 お前はあの頃、俺の自慢の姉だった」

「え?」

 そんなこと初めて聞いたんだが……。

「いや、テレビにお前が出てても、学校で、お前を俺の姉だと言ったことはなかったんだが」

 まあ、最初から知っていたやつもいたけど、と言う雄嵩に、

「じゃあ、どこで自慢してたのよ」
と訊くと、

「心の中でだ」
と言う。

「心の中?」

 ちょっといい話かと思ったら、違った。

 雄嵩は、
「電車の中にいるときの、心の中でだ」
と謎なことを言い出す。