「だって、田中さんに仏像とかお地蔵さん見に行きませんかって言っちゃったから。

 いいお地蔵様とか探してたんだ。

 せっかくだから、田中さんの役に立ちたいかなと思って。

 すごくご利益(りやく)がある縛られる地蔵があるらしいんだよ」

「……意味がよくわからないが。
 まあ、お前が田中さんのためになにかしたいと思っているのは、よくわかった」

「だって、いろいろとお世話になってるからね。

 ところで、なにしてるの?
 マンガとかあんまりこっち置いてないんだけど」

「何故、俺がマンガを探していると決めつける……。

 違う。
 お前の栄光の歴史を見てたんだ」
と言うその手にはフランスの雑誌があった。

 コンテストで優勝したときのものだ。