めぐるは困ったように、周囲に視線をめぐらせている。
 そこまで考えていなかったようだ。

 狭い路地で視線を止め、

「……お、お地蔵様とか、仏様とか見に?」
と言う。

 思いつかずにいたところに路地が目に入ったので、この間のまぼろしで呪いの(?)お地蔵様のことを思い出したようだった。

 実は意外にも田中の方がもっとデートっぽいコースを考えていた。

 だが、なんだかそういうお出かけの方が自分たちには合っている気がして。

 田中は、
「そうか。
 いいぞ、それで」
と言って、ちょっと笑った。