「どうですっ?
 薔薇ですっ」

 おおっとみんながどよめく。

 女子大生たちが生クリームでケーキをデコレーションするのが上手くできないと言うので、めぐるが皿の上に薔薇を絞り出して見本を見せたのだ。

「すごい天才パティシエ様の薔薇って感じだ」
と覗きに来ていた他のホストたちが言う。

「いや~、別にそんな変わりませんよ……」
とめぐるは言うが。

 めぐるが次々に生み出していく繊細な作りの薔薇は、まるでコピーしたようにそっくりだった。

「ここまで来ると、なんか怖い。
 おねえさん、機械かなにか?」
とホストのひとりが言い、田中が怯えたように言う。

「お前、いつかの無になる和菓子みたいに狂ったように練習してそうだな」

 そのあと、みんなも交代でやってみた。