階段を下りためぐるは店名の入ったガラス扉を押し開ける。

 誰も出てきてくれないので、薄暗い店内に向かい、
「こんばんは~」
と声をかけてみた。

 いらっしゃいませ~という言葉こそあったものの。

 何故か健も田中も、他のホストの人たちも、お客さんたちもみんな、ひとつのテーブルに集まって、問題集らしきものを覗き込んでいる。

「待って、それ発音違わない?」
とさらに他のテーブルから、派手な光り物みたいな服を着たおばちゃんがそのテーブルにやってきた。

 身を乗り出して問題集を手に取り、素晴らしい発音で英文を読み上げ始める。

 ――あれっ?
 ここって塾?

 めぐるは少し戻ってみた。

 だが、入り口には確かに、キメ顔の美しい男たちの写真が飾ってある。

 ……先生が選べるシステムの塾?