「やったっ。
 俺がこのトーナメントの勝者だっ」

 十数分後、健は立ち上がり、雄叫びを上げた。

「……それ勝つのにいくら使ったんだ。
 勝者はお前じゃなくて、ゲーム会社だろ」
と田中は言ったが、彼女らは、

「健さん、また勝ったんですか?」
「すごいですね~っ」
と手を叩いて褒めてくれている。

 ホストじゃなくて、客がホストをもてなしているようだ。

 っていうか、待てよ。

 よく考えたら、彼女らがこいつの稼ぎをまかなってるわけだから。

 こいつの金の出所は、彼女たちだよな。

「勝ったのは、お前じゃなくて、この人たちでは?」

「いや、なんでだよ……。
 あっ、めぐるんちゃんから返事あったよ」
とカウンターの上のスマホを見ながら健が言う。