調子を崩さないよう、次の対局が終わるまで、めぐるには会わないようにしよう。

 そう田中は思っていた。

 その日頼んだおやつは、菊と栗が透けて見える美しい錦玉羹と冷たい煎茶だった。

 よし。
 今日はよく集中できている。

 どういう風に作ったんだろうとかは気にならないぞ。

 だが、そう思った瞬間、めぐるのあの彼岸花ゼリーを思い出していた。

 透けるような美しさが似ていたからだろう。

 やばい。
 まためぐるに引きづられるっ、と田中は身構えた。