「頭の中で組み立てていたものが崩れたところから始めたので、自分でもハラハラしましたが。

 なんとか勝ててよかったです的なことを言ってたぞ」

「そ……そうなんだ?」

 田中は予定を覆し、『にーろくふ』から始めてしまったらしい。

 ――私なんかのしょうもない話が脳に焼きつくなんて。

 田中さんって繊細なんだな。

 田中さんのことだから、バッチリ対戦相手のことも調べて対策立てていたのだろうに。

 ……今度から余計なこと言わないようにしよう、とめぐるが反省している間も、田中の受難は続いていた。