「おいしい。
 これぞ、家庭の味ね。

 あんたも食べる?」

 めぐるは、小さなちゃぶ台でチャーハンを食べながら、雄嵩にそう訊いたが、雄嵩は、

「食べてきたからいい」
と言う。

 雄嵩はそこからの眺めが気に入っているようで、カラ瓶を手に、まだ窓際に腰をかけている。

「でも、食堂やってるばあちゃんの作ったチャーハンが家庭の味ってどうなんだよ」

 ――はあ、まあ、そうですね。
 こっち住んでるときから、基本、別世帯だったのに。

 近所に住んでたおばあちゃんのチャーハンが一番懐かしい家の味というのはどうなんだろうな、とは思う。