夜、めぐるが台所に立っていると、誰かが一階のドアを叩いていた。

 またチャイム壊れてるのか~と思いながら、はいはい、と下りると、雄嵩だった。

 ラップに包まれた、ほこほこチャーハンを持っている。

「ばあちゃんが、姉貴が食べてんのか心配して持ってけって」

「あ~、まかない、食べられなくなったからねえ」

「田中さんを誘えなくて、ひとりでカップ麺でもすすってるんじゃないかってさ」

「いや、いつ、田中さんを誘って食事する話になったの。
 っていうか、田中さんいなくても、ひとりでちゃんと食べるよ。

 まあ、上がって」
と雄嵩を二階に誘う。