今通った狭い路地を振り返りながらめぐるは言う。

「そういえば、子供の頃はよくこういう道を通ってましたね。
 大人になったら、身体が大きくなって狭く感じるからか、通らなくなっちゃいましたけど」

 あと、車で移動することが多いからかな、とめぐるは思う。

「そういえば、お地蔵様が木のお堂の中に入ってるところがあった気がするんですけど」

「あったぞ」

 こっちだ、と田中に導かれ、近くの家と家の間を通っていく。

 日が当たらなくて、湿った路地にはところどころ苔が生えていたりして。

 そういえば、ここ、小学校のとき同じ登校班だった子を迎えに行く道だったな、と思い出す。

 懐かしいな……。

 一度広い道に出て、そのまま目の前にあるもうひとつの路地を通っていると、確かにあのお地蔵様が見えた。