厚みのある長方形の透明なゼリーの上に真っ赤な彼岸花が咲いていた。

 ……今が秋だと知っていたのか。

 じゃなくて。

「すごいな。
 なんて緻密な……

 飴細工か?」

「こっちを配ってもいいかと思ったんですが。
 量産できなかったんですよね~」

 そりゃそうだろうよ、と言いながら、こいつ、またあの絶望のタヌキの目になって、黙々と作っていたのかと思う。

「美しいですね。
 下のゼリーの透明感もすごいですが。

 なにでできてるんですかね? 水?」
と言った師匠の横から、健が言う。

「ああ、水ゼリーってやつ?
 あれって味あるの?

 彼岸花味とか?」

 ……いや、彼岸花、毒があるだろ。