「ずるいじゃないか。
 菓子の力で勝つとか。

 ぜひ、僕もそのすごい伝説の菓子職人にお菓子、作ってもらいたいねっ」

 誰なんだ、そのすごい伝説の菓子職人、と思ったが、みんながこちらを見ている。

「ええっ?
 私、別にすごい伝説とかありませんからっ」

 めぐるは後退しながら、慌てて手を振る。

 だが、容赦無く百合香が小鉢をめぐるの手にあるお盆にのせて来たので、逃げられず、小鉢を持っていく。

 誰だ、今の流れで、オムライスじゃなくて、ハンバーグ定食頼んだのは、と思ったら、師匠の横にいるおじいさんだった。

 コト、と小鉢を置くと、
「ありがとう」
と微笑まれ、なんか、ほっこりする。