「藤浦先生がオムライスなら、僕もオムライスにしようかな」

 久門は別の一門の人間らしいのに、田中たちより殊勝に藤浦師匠に従う。

「安元さんに聞いたんだ。
 お前が入り浸ってる食堂があるって」

 同じテーブルにつきながら、久門は言う。

「お前、すごい菓子職人の人に、勝つための和菓子を作らせてるらしいね」

「誰がそんなこと言ったんだ?」

「安元さんがそんな雰囲気のことを言ってたよ。
 まあ、僕、人の話、あんまり聞いてないんだけど。

 だいたい、そんな感じのことを言ってた」