今風のイケメンのその男は壁にかけられている田中のサインを見上げている。
誰だか知らないけど、恐ろしい人だ。
私も常々、私と同程度の字だなと思ってはいるのだが、なにせ、田中竜王様の書かれたものだから、口に出しては言えないのに。
この店には最近、田中竜王のサインと師匠の藤浦九段のサインが飾ってある。
「田中さんにもらったら、あんたにももらわないといけないだろ?」
と百合香は嫌そうに古い知り合いらしい藤浦にもサインを書けと言っていた。
いや、なんでもらう方が偉そうなんだ……、
と思いながら眺めていると、
「あーはいはい」
とサインを書きながら、藤浦は、めぐるを見上げ、訊いてきた。
「めぐるちゃんのサインは?
飾らなくていいの?」
「これはいい、別に」
とあっさり百合香は言う。
誰だか知らないけど、恐ろしい人だ。
私も常々、私と同程度の字だなと思ってはいるのだが、なにせ、田中竜王様の書かれたものだから、口に出しては言えないのに。
この店には最近、田中竜王のサインと師匠の藤浦九段のサインが飾ってある。
「田中さんにもらったら、あんたにももらわないといけないだろ?」
と百合香は嫌そうに古い知り合いらしい藤浦にもサインを書けと言っていた。
いや、なんでもらう方が偉そうなんだ……、
と思いながら眺めていると、
「あーはいはい」
とサインを書きながら、藤浦は、めぐるを見上げ、訊いてきた。
「めぐるちゃんのサインは?
飾らなくていいの?」
「これはいい、別に」
とあっさり百合香は言う。