「……美味いな。
 外はぷるっとした食感で。

 黒い餡は口の中でさらっと消える感じがする。

 上品な甘さだな。

 中の赤い餡は少しすっぱいか」

「梅なんで」
とめぐるは笑った。

「……作っている人間からは想像もつかない繊細な味だ」

 いや、どういう意味だ。

「まあ、私は和菓子は素人なんで。
 田中さんがいつも召し上がっていらっしゃるような対局のときのお菓子には遠く及ばないでしょうけどね」

 すみません。
 望むお菓子ができなくて、とめぐるは謝った。