「どうですか?
 ちょっと綺麗な感じに変えてみました。

 『慟哭』です」

「まだ慟哭してるのか……」

「いや、ちょっと元気になったので、慟哭を昇華させたくなっただけです」
とめぐるは笑う。

 上から覗き込んで見た田中が気がつく。

「中に赤いものがあるな」

 葛の下にある鬼灯型の黒い餡にところどころ切れ目があり、そこから、赤っぽい餡が覗いている。

「炎をイメージして入れてみました。
 ちょっとだけ見えてきた私のお菓子への愛ですかね?

 田中さん、ありがとうございます」

 どうぞ、お召し上がりください、と言うと、田中はそれを口にした。