「おいしい。
 甘い。

 甘い。
 おいしい」
とめぐるは繰り返す。

 ようやく、みんなが襖の陰から自分を見ていることに気がついた。

 充則が来たのは知っていたが、いつの間にやら、田中まで増えている。

「ああ、……いらっしゃい。
 田中さん」

「さっきからいたけど、田中さん。
 お前、この神々しいイケメン様が目に入らないとか、どういう集中の仕方だ」

 そんな弟の言葉も聞いていないめぐるは、ポッキ○の箱を高く掲げて言う。

「いやあ~、お菓子っておいしいですね~。
 癒されますね。

 これぞ、お菓子ですよっ」