「なんて美味しそうなねりきりっとか言ってやってくださいっ」

「いや、それだと、心が動いているだろ」

 こいつ、もしや、食堂の空き時間なんかも、今はこんな感じなんだろうか?

 自分だったら、そうなるが……。

 百合香が、
 なんて注文出してくれたんだ、と怒りの表情を浮かべてそうだ、と田中は怯える。

「心が動いてはいけないってことは。
 ねりきりを見ても微動だにしてはいけないってことですかね?」
と充則が小首をかしげながら言う。

「ねりきりがあることにも気づかないフリして、踏んで歩くとか……?」
と言う雄嵩に、

 とんでもないこと言い出したな……。

 生活をねりきりに浸食されて、病んでいるのかもしれない、
と田中は思う。