「めぐるー。
カウンターにこんなものがあるよ」
昼の混雑が一段落したころ、百合香がレジの近くから、そう言ってきた。
レジ横に昔からあるなんのイキモノかわからない編みぐるみの下に茶封筒があったようだ。
『天花めぐる様 田中』
と表に書かれた封筒には、五万円も入っていた。
いや、ちょっとねりきり作っただけなのに……。
このお金は受け取るつもりはないけど。
やっぱり、田中さんは、それくらい本気、ということなんだろうな。
ちゃんとしたものを作ってあげないとな、とめぐるは思う。
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