師匠とおじいさんがオムライス。

 田中と健という、ちょっとチャラめの若い人がチャーハンとラーメンだった。

「いらしてくださって、よかったです」
と食べ終わった彼らにめぐるは言う。

「田中さんに頼まれていたお菓子の試作品ができたので。
 みなさん、いかがですか?」

 ほう、と師匠がめぐると田中を見る。

「対局のとき、出して欲しい菓子か?
 最近、気が抜けたようになっていたが、やる気になったのか」
と田中に訊いている。

「なんの感慨も覚えないようなお菓子を作ってくれと言われたので」

「えっ?
 有名なパティシエになに頼んでんの?」
と健が田中を振り返る。

「美味しいと思われたいとか、お客様に喜んで欲しいとか思わずに作ってみました」

 全員が、そんな菓子はどうなんだ、という顔をする。