「こらこら、尚。逃げるんじゃないよ」


「何があったの?断る理由、ないでしょ?遼ちゃんのこと、嫌い?」


「いや…。嫌いってわけじゃないんだと思う。断った後、傷つけたのも後悔してるし」






〝それって好きってことじゃん!〟とみづきに腕を何度も叩かれながら言われて、拒否したかったけどまた朔を傷つけてしまうと思うと、何も言えなかった。




嫌いじゃないけど、好きでもない。



そんな曖昧な答えが朔を傷つけたのは、自分が一番理解している。


でも、朔の顔を見ると傷つける言葉が出てしまう。