手をつけていないお弁当を見て、勝手に蓋を開けて勝手に卵焼きを一つ口に入れる。


マヨネーズだけで味付けした、朔家と同じ味付けの卵焼き。






「茅柴は、人に頼るのが苦手なんだな。でも、頼られた時って嬉しいだろ?迷惑とかそんなの誰だってかけてるし、迷惑かけてても知らん顔のやつだっている。茅柴は考えすぎなんだよ。もっと気楽に、いつもの冷たくあしらう茅柴でいてよ。

俺はそんな茅柴に振り回されるの、嫌いじゃない。焦る茅柴も好きだし、たまに理性吹き飛ばしてくる可愛いところも好き。どんな茅柴も好き」


「あんまり好き好き言われると、恥ずかしいけど…。ありがとう。私も、朔くんが好き」


「本当に?」


「うん、好き。好きだけど、好きだからこそ面倒なことに巻き込みたくないって思っちゃったの。だから向井さんのこと知った時、朔くんに知られたくないって思った。

せっかく亜季さんのこと、一緒に乗り越えようって言ったのに、掘り返すようなことしたら、朔くんが辛いだけだって」