鍵を開けて扉を引くと、誰も居ない静かなトイレに、水を溜めたと思われるタライが床に雑に置かれている。


床は水浸しで、排水溝に流れていく水が多すぎて処理しきれず、ゴボゴボと音を立てていた。





制服から滴り落ちる水を見て、頭から水を被った今、どんな顔をしているんだろうと洗面所の鏡に映る自分を見た。



朔に初めて会った時、目に光がないって思ったけど、それ以上に光がない。



ふわっと空気が入った髪も、ぺちゃんこに潰れて、朔と付き合えて浮かれていた自分が情けなくて笑えた。