靴に入っていた画鋲の嫌がらせは二回で終わり、それから一週間は夢だったかと勘違いするほど、何も起こらなかった。 もしかしたら、矢吹くんが手を回してくれたんじゃないかと聞いてみたけど、何も知らないと言う。 これで気を抜いてしまった私もバカだ。 「尚ちゃんにバレたから、やめたんじゃない?」 「そうかな…」 きっとそうなんだと、矢吹くんの言葉を信じて、向井さんのことは頭から離れかけていた。