「理由が分からないから、怒りようがないです。何であんなことをしたのか、教えてください」 「…教えるわけないでしょ」 掴んだ腕は振り払われて、悲しそうな目を向けられると、次にかける言葉に詰まった。 悲しそうより、諦めの方が合うかもしれない。 あなたにはこの気持ちが分からない。と言われているようで、何も言えずに向井さんをただ見ていると、走って校門を抜けていき、すぐに姿が見えなくなった。