「向井さん待って!話したいんです!」




私が追いかけると逃げるように走り出した人は、やっぱり図書室で会った向井さんで、何とか追いついて腕を掴んだ。




「関係ないから!急いでるの!」


「私の靴に画鋲を入れたの、向井さんですよね?別に怒ってるわけじゃないし、責めるつもりもないんです」


「怒ってない?そんなわけないでしょ。あんなことされて、怒らない人居るの?」





穏やかで清楚で優しい向井さんはここに居ない。


顔を赤くして、目も少し充血しているのが分かる。