「向井さん…」



図書室に本を返しに来た、良い香りのするお姉さんに見えた。


私が振り返ったことで、バレないように建物に隠れたけど、緩く巻いた髪が見えたし、画鋲が靴に入るようになったのが向井さんに会ってから。




「向井さん!」


「尚?」




みづきを置いて、向井さんの居る正面玄関に走った。


画鋲の犯人は、向井さんで間違いない。



でも何で画鋲を入れたのか気になる。


あの時、どこかで会ったことがあると言われたけど、その時に何かしてしまったんだろうか。