知らなくて良いこともある。


目を瞑って、声に出して自分に言い聞かせた。




何も言わなくて良い。隠し事なんて、ないんでしょ?


何も聞きたくないから耳を塞ごうとすると、近くでシャラシャラと、金属音がした。



目を開けると、朔の手のひらにネックレスが乗せられている。




「これ買いに行ってた。本当は遊園地行った帰りに買おうと思ってたんだけど、自信なかったから」


「自信って?」


「お試しの後に、茅柴が良い返事をくれるかどうか。だから寝坊したのは、嘘。お店の開店時間待ってたら、思ったより遅くなった」


「それから来たの?」