私は元カノを忘れて欲しいわけじゃない。引きずっている朔を解放してあげたいだけ。


じゃないと、どんな新しい彼女ができてもその彼女とは前に進めないと思う。




でしゃばりだと言われればそうかもしれない。それでも、朔が私と付き合いたいと言ってくれたことに、応えたいから。



まだ険しい表情のままの朔の答えを待つ。目を泳がせて唇を噛んでいる。




「……茅柴がそんなお節介だと思わなかったわ」


「ごめん…。迷惑だよね」


「別に迷惑じゃねぇよ。まさかの図星な指摘だったから。忘れるわけない。俺が守ってやれてたら、俺が左側を歩いてたらって言い訳ばっかしてる。でもどんだけ言い訳しても苦しくて、何で死んだのは俺じゃなかったんだって今でも思うよ」