後ずさりは止まらず、下がりすぎて本棚に背中が当たってしまった。


もう下がる場所がないのに、朔はまだ迫ってくる。



今日の朔は、少し怖い。私が意地悪しすぎただろうか。





「朔くん、あの…。近いです」


「分かってるよ。茅柴が俺をいじめるから、俺も茅柴をいじめようと思って」


「ごめん…。でも先生、本当に嬉しそうだったんだよ」


「だから?」





本を取ってもらった時以上に密接していて、鼻が当たりそうなぐらい。


朔の顔が近すぎるのと圧が怖いのとで、この距離に耐えられなくなって、勢いよくその場でしゃがみ込んだ。