「茅柴。手、出して」




手のひらを朔に向けて出すと、朔が私の出した手を包む。


両手で、私の手を隠すように包んだ。




「楽しいことがあった後には、悲しいこととか辛いことがあるんじゃないかって、人間の本能で考えるらしいよ。そんなこと考える暇があったら、楽しいことを自分から次々と探していったら良いじゃん」


「…うん」


「何も考えなくて良いよ。楽しかったって思ってくれたんなら、それで良いじゃん。明日はもっと楽しいかもしれないし」


「そうだね。そうなるように、する」