「…ママー」 朔を待っていると、私の目の前を通ったのは、小さな男の子。 泣いているし、ママって言ったってことは、迷子。 「ママと逸(はぐ)れちゃった?」 「うん。パパも居る」 「そっか。この辺で一人になっちゃったの?」 「分かんない…。ママー」 まだ言葉を使いこなせる年齢でもなさそうだし、しつこく聴きすぎても、この子が余計に不安になる。 朔を待ちたいけど、それよりこの子を助けたい。