駅に向かいながら話せば良いのに、家の前で立ち止まったまま話す私たち。





「何時の電車に乗るの?歩きながらでも話せるでしょ?家の前でイチャイチャしないでよ」




見かねたお母さんが笑顔で窓から顔を出して、手招きと逆の手で私たちを追い払った。





朔と笑いながら、ようやく駅に向かって歩き出す。


駅に着くまでも電車に乗ってからも話は途絶えなくて、自然と朔との距離が近くなっていく。





「手、繋ぐ?遊園地の中、人多いから」


「今は電車だから良いよ。今聞いたのって、人が多いから?朔くんが繋ぎたいだけとか?」


「うーん。両方かな。でも人多いのは本当だと思うし」





手を繋がないって言うと、また朔を傷つけるかもしれないけど、半分私が手を繋ぎたいっていう気持ちもあって、控えめに手を出す。