お母さんに朔が挨拶に行ってから、バタバタと日は進んで、気づいたら土曜日。





お母さんは〝息子ができるのは嬉しい〟と、だいぶ先の妄想の話をして勝手に盛り上がっていたし、よほど嬉しかったのか、お父さんにも電話して大騒ぎ。


娘が離れていくのを嫌がる反応を想像していたのに、お父さんまで喜んで、バージンロードを歩く練習をしておくなんて言い出して、暴走を止められないから放っておいた。




服を選んでいても、着るのはワンピース一択だとか、お化け屋敷に入って朔の手を掴めば、もっと可愛く見えるだとか。


とにかく横から出てくる口がうるさい。





「お母さん、遊園地だよ?アトラクションだってあるのにワンピース着たら場違いだし、お化け屋敷は私怖くないから。お母さんと朔くんのおでかけじゃないんだよ?」


「だって…。お母さんが青春してる気分になるんだもん。ワクワクして応援したくなるじゃない?」


「じゃあ黙ってて」