朔の腕の中で暴れると、〝ごめん(笑)意地悪した〟と私から離れて、すかさず手を握られて引かれた。


朔の手、大きい。私の手をすっぽり覆って、このまま吸い込まれてしまいたい安心感がある。




何も言わずに付いていくと、〝家まで送るわ〟と少し手を握る力が強くなった。




「ありがとう」




朔と手を繋いで歩くのは、私が朔と付き合っていることを公表しているようなもので、
すれ違う生徒や先生が私と朔の距離感を見て、その視線が手にいくと、見てはいけないものを見たように、みんなが目を逸らして早足で去っていく。



そんな避けなくても良いのに。